公共工事入札の歴史

昨今、オリンピックに伴う工事などで話題に上がることもあります。巨大な建設費も伴うため、公共工事入札の関心も高いことと思います。今回は、簡単にですが、公共工事入札・契約制度の歴史について書いていきます。

公共工事入札・契約制度の沿革

日本の公共工事入札制度は、明治まで遡(さかのぼ)ります。明治22年に「会計法」が制定され、「一般競争入札」が原則でした。

その後、明治33年に、不良不適格業者を排除することを目的に、「指名競争入札」制度が導入されました。指名競争入札制度は、明治、大正、昭和と長年(約90年間!)続けられることになりました。

その後、平成5年に「一般競争入札」が導入され、制度内容の改良が行われつつ、現在に至っています。

会計法・地方自治法での公共工事入札の原則

公共工事入札における根拠法は、「会計法」、「地方自治法」が根拠法と言われています。
それらの法律では「一般競争入札」、「最低価格自動落札方式」が原則とされていました。

ちなみに「一般競争入札」とは、一定の資格のある不特定多数の希望者に対して、すべての入札競争に参加できるものです。また、「最低価格自動落札方式」とは、予定価格の範囲内で最低価格を入札したものを自動的に落札者とする方式を言います。

とはいうものの、相反して「指名競争入札」「随意契約」が主流になってきました。

「指名競争入札」とは、発注者が技術力・経営状況等について適当と認められる複数の業者を指名し、指名業者のみを参加させる入札方式です。また、「随意契約」とは、入札によることなく、発注者が適当と認める業者を選んで契約を締結する方法で、競争にそぐわない場合など一定の場合に限り認められるものです。

ある意味、「指名競争入札」「随意契約」は「競争」が健全と言えない状況であり、平成5年には「一般競争入札」が導入され、平成12年には、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が制定されるようになりました。

この「公共工事入札契約適正化法」では、①透明性の確保、②公正な競争の促進、③不正行為の排除の徹底、④適切な施工の確保を行うことが目的となっています。

その後の入札・契約における法律について

「公共工事入札契約適正化法」の後には、「公共工事の品質確保の促進に関する法律(略して「品確法」)」が平成17年に制定され、公共工事の「ダンピング防止」と共に「品質の確保」を目的とする内容となりました。現在の「総合評価方式」は、この法律に基づいて制定されています。

「品確法」については、次回以降の記事に詳しく書きます。

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