経審の評価項目は「経営規模等」と「経営状況」に分かれています。「経営規模等」の評価には、「自己資本額および平均利益額(X2)」という項目があります。X2は総合評定値(P)の15%を占めているため、重要度の高い項目と言えます。しかし、すぐに評点アップをすることが難しい項目でもあります。
X2の評点アップを目指すことは、会社の資金繰りを改善し、黒字倒産を防ぐことにもつながります。
※黒字倒産:決算上は黒字であっても、手持ちの現金が足りなくなって支払いができないために倒産してしまうこと。扱う金額が大きく、代金の受け取りが数ヶ月先になることが多い建設業では黒字倒産が起こりやすいと言われています。
今回は、X2の評価項目である「自己資本額」と「平均利益額」のうち、特に「自己資本額」に焦点を当てて解説します。
自己資本額とは?
貸借対照表の右側を見ると、「負債」と「純資産」があります。この純資産が自己資本と呼ばれるものです。
純資産をさらに細かく見ていくと、資本金や利益剰余金などがあります。
資本金には、会社設立時に払い込んだ出資金が含まれます。利益剰余金とは、会社の利益を積み立てたものです。
経審における自己資本額評点の算出方法
X2の算出に使用する自己資本額は、審査基準日単独か、直前2年平均のどちらかを選ぶことができます。有利になるほうを選びましょう。
区分と算出式の表は、こちらをご覧ください。
自己資本額および平均利益額(X2)について
自己資本額の評点アップ対策
自己資本額を増やすためには、資本金を増やすか、利益剰余金を増やすという対策が考えられます。
株式会社の場合は、新たな株式を発行して資本金を増やすことができます。合同会社の場合は、社員が追加で出資するか、もしくは社員を追加することで資本金を増やします。
これに対して利益剰余金は、会社がこれまでに出してきた利益の積み重ねなので、いきなり増やすということができません。長い目で見て、経営戦略をしっかり立てていく必要があります。
なお、自己資本額が増えるとX2だけでなく、経営状況の評価でも有利になります。
自己資本額が増えることのメリット
・資金繰りが楽になる
資金繰りに余裕ができれば、入金が遅れたり売上が下がったりする不測の事態にも対応できる可能性が高くなります。結果として倒産を防ぐことにつながります。
・融資を受けやすくなる
自己資本が充実している会社ならば、お金を貸す側としても安心することができます。逆に、売上が多くても自己資本がない会社では融資を受けられないこともあります。
自己資本額の評点アップ対策まとめ
- ・経営者に余裕があれば、新たに出資して資本金を増やす。
- ・確実に利益を出して利益剰余金を積み立てていく。
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