経審、もしくは建設業許可申請などで用いる財務諸表は、税務署に提出する決算書の財務諸表と違い、建設業法で決められた勘定科目の分類で作成することが定められています。よって、税務申告用の決算書から建設業法の勘定科目に組み替えが必要になります。 今回は、特殊な勘定科目について主立ったものについて書いていきます。
□貸借対照表
建設会計独自の勘定科目 | 簿記会計の勘定科目 |
完成工事未収入金 | 売掛金 |
未成工事受入金 | 前受金 |
未成工事支出金 | 前渡し金、仕掛品 |
工事未払い金 | 買掛金、未払費用 |
□損益計算書
建設会計独自の勘定科目 | 簿記会計の勘定科目 |
完成工事高 | 売上高 |
完成工事原価 | 売上原価 |
完成工事総利益 | 売上総利益 |
一般的な製造業では、製造原価は、材料費、労務費、経費と3区分でき、さらに、直接費と間接費に分けると6区分できます。建設工事はというと、受注生産となるので、原価管理が大切になってきます。当期に完成させた工事の原価の詳細を、完成工事原価報告書に記載しますが、材料費、労務費、外注費、経費と4区分となっています。工事原価は、工事ごとに集計し、その工事が完成した時に費用計上されます。未完成の工事の場合は、未成工事支出金となりますので、工事ごとに原価を出しておく必要があります。工事原価(費用)と未成工事支出金(棚卸資産)とに分けることが出来なくなってしまうからです。
□建設業の場合
材料費 |
工事の施工に直接必要とした材料費 |
労務費 |
従業員(作業員)の給与・賞与、法定福利費など |
外注費 |
外部に工事の施工を依頼した費用 |
経費 |
工事用機械、工具、工事のための現場近くの駐車料金など |
さらに直接費と間接費に分けると8区分となります。このように、建設業の場合は一般的な製造業よりも詳細を報告することになっています。
完成工事原価報告書の内訳科目には、損益計算書の販売管理費の勘定科目と同様の名称のものも多々あるのですが、内容により分けなければ発生原価がわかりません。この経費と販売管理費を区別するには、工事現場の直接掛かっている経費と、複数の現場で共通の経費を勘定科目ごとに集計すると分かりやすいのではないかと思います。また、建設業以外の事業も行っている場合は、経営状況分析の申請時に兼業原価報告書を作成します。
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